「認知症と生活」(後編)

3.認知症生活でのお役たち品

 これは、日々生活を過ごす時に、衣食住で考えてみましょう。着るモノは下着と上着、季節のモノ、朝と寝る前で変えられるように、中身の見える整理ケースが役に立ちます。ケースの表示も図案でするとより効果的です。言語は間違いを少なくする優れた道具ですが、認知症では失語症状をみますので、言語を他のモノに変える工夫がいりますので、図案やデザインが役に立ち、ユニバーサルデザインなどを検索されると良いものが見つかります。

 食では、患者様ごとに独自の食器やメニューがありますが、症状からみれば持ちやすくスプーンではすくう量が若干少なめのが、誤嚥や口腔にため込む方には良いように思われます。食事量は、症状を考えますと少量で味を濃くする方が、食べた感じがしますし、塩分や糖分や油の量が抑えられ、血圧や血糖、脂質を控えた食事になります。

 住まいや住環境では、バリアフリーが転倒、躓きの心配が減少します。夜中に起きた時にも周りがよく見えるように照明のスイッチに紐を付けて枕元まで引っ張っておくと便利です。家族や介護のヒトに合図を送るのに、風鈴タイプの手で振る呼び鈴を使うと割とよく聞こえますし、大きな騒音になることもありませんので便利かと思います。

4.認知症支援者への必要な支援

 支援で有難く頂けるのは、「思いやり」です。これが感じられるのであれば、それは何であっても認知症支援者の皆さんには、癒しと勇気と励ましになります。支援者の方は、ご本人の目、耳、口、手、足の代わりになって24時間、365日の間不眠不休で対応されることになります。そのため、多くの人数でチームを組んで支援されないと、疲労から体調を崩し、気持が折れてうつ状態になられることが出て来ます。これは避けなければならない事態です。

 慣れた介護者や家族の代わりは出来ませんが、ピンチヒッターとしての短時間交代はできます。これまでの介護の流れが十分に分かってなくても短い時間でしたら、何とかつなげるものです。支援者の方にとって、自由になる時間はとっても大事です。それは、支援者にとって必要な時間なので、自由に使える時間が確保できるのは有難いことです。それは、時間が支援の対象になるということで、支援者の方の希望した時に自由時間を作るために待機することで、何人かでチームを作って待機時間を決めておくことで出来ます。

 筆者:「タッチエム」開発・監修            

 元北海道大学保健科学研究院 教授 医学博士 村上 新治



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